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中村宏之氏教育講演会 記録


目 的 生徒の豊かな感性を育成し、将来にわたり夢と希望を育み、明るく前向きに生きる糧を与えること。
日 時 平成23年12月19日(月) 13:10から15:00
会 場 北海道知内高等学校体育館
主 催 知内高等学校
後 援 知内町教育委員会(社会教育)
対 象 本校生徒、及び一般町民
講 師 北海道ハイテク・アスリートクラブ 中村宏之 監督
演 題 「夢は途中〜福島千里と共に」



・内容

 私は、高校時代は陸上部なし、大学では指導者なしという環境で教員となりました。三段跳びの選手としての活動を続けながら、グランドに穴を掘り砂場作りから始めました。恵庭北高でも砂場を二つ作り、芝生を張りという恵まれない環境で指導を始めました。しかしそれがよかったのです。人は環境を自分でよくしようと知恵を使い工夫をし考えるようになるからです。冬は廊下でいかに生徒に飽きさせずにトレーニングさせるかを考えました。どんな環境も不利ではないのです。また、日本記録を公言して実際に北海道から日本記録を出したのは廊下トレーニングの成果です。高校教員を退職すると同時に専門学校から声がかかり、クラブチームを作ること、冬のトレーニングが出来る130mトラックを作ることを条件に移りました。同時に福島千里が入部しました。初めて会ったとき、天才だと思いました。あの上下動のない右足を蹴ったときにはもう左足がでている回転の速さは、日本人としては空前絶後です。北京オリンピックに出場したのは陸上女子では56年ぶりなんです。今まで扉をも開けられなかったのです。
 しかし、11秒74という記録で泣くばかりでした。この経験がよかった。翌年のベルリンの世界選手権一次予選を突破したのは77年ぶりです。アジア大会で100m優勝しました。これが44年ぶりです。200mの優勝は史上初です。進歩しているのです。現在は世界ランク30位くらいです。ロンドンでセミファイナルファイナルに残るのは大変なことなのです。福島しか知らない世界を走っているのです。また、今まではあり得なかったのですが、本州を向いていた陸上界も代わり今では全国から合宿にやってきます。恵庭で何をやっているかというと、バスケットなんです。テニスで遊んでいるのです。冬はいろんなスポーツをやって体幹、バランス、感覚を鍛えるのです。狭い、短いところで早く足を動かす訓練をするのです。福島の走りは、着地する時間が短いから滑るように走るのです。従来の日本の陸上指導は300mや500mの厳しい練習を乗り越えることで栄光があると考えています。また多くの指導者は形から入るのですが、それでは個性が育たない。イチローもマラソンの川内選手も自分で考えるから伸びました。私の練習にはメニューがありません。福島選手も自分で考えてトレーニングをします。
 日本人は苦しいことを頑張って伸びると信じています。日本のトップに立ったら前年度以上の練習をして頑張るのですが、それで疲れるのです。肉体も心も充電するために楽しく自分で考えることで伸びるのです。福島ものびのびと育ち、個性を伸ばしたので今の福島があります。全国小学生大会で優勝して一流になった選手はいません。みんな頑張って疲れてしまい伸びないのです。世界でも日本でも自己記録を伸ばしているのは30前後です。福島は23歳です。まだまだロンドン、リオ、その先のオリンピックを目指して、伸びしろを持っておくことが大切です。指導者は見ていればよいのです。200mの記録は曲走路を走らないで出しています。これは常識外です。しかし陸上の常識ではストレッチをしてウォーミングアップをして決まったメニューをこなすがそれが目的化してしまうのです。強いチームはみんなが型にはまった同じ走り方をしています。同じことの繰り返しにより疲れ、ケガを生むのです。人間はウォーミングアップをするものだと思うとそういう体になってしまうのです。
 人間はどんな状態でも順応します。人と違ったことをやればよいのです。指導者はよくミーティングで長い話をしますね。私はしません。最低限の連絡などは食事の時で済むのです。私の考案したミニフレキシブルハードルは今や全国で使われています。早く細かく足を動かす用具です。一般的に指導者は易しいことを難しく話すのですが、難しいことを易しく教えることが大切です。福島には技術を教えたことはありません。また指導者は欠点を指摘することが好きですが、長所を認め伸ばすのが指導者の仕事だと思っています。福島をオリンピックのファイナリストにしたいし、第2第3の福島を育てたいと思っています。彼女の体重は50キロにようやくなりました。彼女にとって食べることがトレーニングなのです。




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